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番外編 龍成さんへの頼み事

「お兄ちゃん、甲崎さん、かいとくんは本当は寂しいんだと思います。昔、一太がそうだったように。パパがいないから、自分がママを悪者から守らなきゃいけない。だから、かいとくんは強くなるために、小さなヒーローになるために、ガキ大将になったのかも知れないんです」 「でも、その大好きなママは、自分が知らない男に横取りされ、すぐに妹が出来た。こぶつき女との結婚に難色を示していた舅と姑は妹ばかり可愛がり、継父も妹ばかり可愛がる。かいとの居場所はどこにもない。だから、かいとは家に帰らず、隣の叔父の家で暮らしているそうだ。奏音を馬鹿にし、泣かせたことは許せないが、そうなってしまった理由を作ったのは回りにいる大人たちだ。むしろかいとも被害者かも知れない。裕貴、甲崎、人生100年時代だ。どっかでかいとの祖父母が生きているような気がするんだ。他人が口を挟むことじゃないが、かいとをあの家から出してやらねぇと、奏音や達治と譲治兄弟みたくなるような気がするんだ。そうなる前に助けてやりたいんだ」

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