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番外編 馬鹿正直の馬鹿真面目な男

「遥琉さんどうしたの?顔色が悪いよ」 「いやな、とんでもない約束をさせられたなって今ごろになってようやく気付いたんだ。俺はどうしたらいい?二人ともきかないし、おっかねし」 はぁ~~と深いため息をつく彼。 「未知」 地竜さんにズボンをつんつんと軽く引っ張られた。 「会合で上京したときは可愛い妹たちからほっぺにチュッ。こんな馬鹿げた約束を本当にしたのか?」 「会長の命令は絶対だから、無下に断ることは出来ないって」 「卯月も大変だな」 「でもこういうときじゃないと人妻となったお姉ちゃんとチカちゃんと膝を割って話すことも、構ってやることも出来ないかって」 「そうか。卯月は馬鹿正直の馬鹿真面目な男だな。つくづくそう思うよ」 「おぃ、地竜。馬鹿を連呼すんな」 「これでも卯月のことを褒めているんだぞ。悪く言ってはいないから別にいいだろう」 地竜さんが足にしがみついてくると嬉しそうに顔を足にすりすりさせてきた。 「地竜さん、あの……その……」 靴下は絶対に匂うから駄目。引っ込めようとしたら、 「未知の匂いを堪能中だ。俺の楽しみを奪わないで欲しいな」 大人の色香を漂わせた目付きでじっと見つめられ、頬がぽっと朱色に染まった。

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