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番外編 馬鹿正直で馬鹿真面目な彼

「覃と宋のフェチは飼い主に似たのか」 「俺は昔から未知フェチだ。この旨そうな甘い匂いも、頭のてっぺんから足の爪先まで全部ひっくるめて大好きだ。未知に堂々と甘えられるし、たまにこうしてぎっくり腰になるのも悪くないな。こんなことをしていても卯月と橘に怒られないし。一石二鳥だ」 「あのな地竜………」 「なんだ?」 「いや、なんでもない」 彼が首を横に振った。 「呆れてものが言えないってこの際だからハッキリ言ったら?」 お姉ちゃんがふらりと部屋に入ってきた。 「千里、そのルージュなんか濃くないか?気のせいか?」 「だって、お兄ちゃんにキスマークを付けるなんて、滅多にない貴重な経験でしょう。だから、あとが残るようにわざと落ちにくいルージュを厚めに塗ってきたの」 お姉ちゃんのその言葉に彼の顔から血の気がさぁーーっと引いた。 「可愛い妹二人に襲われて、俺も地竜みたくぎっくり腰になるかも知れないな」 「あら、やだ。アタシ、そんなことしないわよ。だってか弱いもの」 「は?どの口で言ってんだよ」 彼の表情が強張っていた。

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