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番外編短気は損気
「今度こそいただきます」
「青空、怒らないんだよ。短気は損気だよ」
譲治さんは蜂谷さんの膝を枕代わりにし、腰にしがみつきすやすやと眠っていた。
青空さんは当然ながら面白くない。
蜂谷さんが座布団の上に譲治さんを寝かせようとしたら、何がどうなったのか、気付けばこうなっていた。
「本家にいるのは海翔の継父と妹。同居している継父の両親。母親は土曜日に退院予定だから不在。サツがパトロールを強化するって。瀧田の妻子は実家に帰っているから、瀧田ひとりのはずなんだけど」
「妻の居ぬ間に羽を伸ばしているんでしょう。いいご身分よね」
「余裕綽々な態度が逆に怖いけどね」
お姉ちゃんとチカちゃんがそんな会話を交わしていたら、
「ディノンさん、ごちそうさましたよ」
「ぜ~んぶたべたよ」
めぐみちゃんと遥香が食器を運んできた。
「めぐみちゃん、のんのさま」
「のんのさま?」
遥香が何かに気付いた。両方の手でお茶碗を持っていたから、めぐみちゃんに目で伝えてようと必死だった。
「未知さん、ままたん大変。見て!」
「望実さんもハルちゃんと一緒で、お兄ちゃんに何かを伝えようとしているのかも知れませんね」
望実さんの葬儀は日曜日。あやみさんと同じ直葬で執り行われることになっている。
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