｢じゃあ聞くけどなんでここに楮山組の舎弟がいるわけ？」 ｢さぁな。詳しくはオヤジに聞いてくれ」 ｢ママ、め」 幸ちゃんが頬っぺを膨らませて柚さんがはいているスカートを引っ張った。 ｢どうしたの幸？」 ｢譲治は子どもたちの遊び相手をしてくれる。幸の面倒だってよくみてくれる。見てくれの悪さで判断するな」 信孝さんに言われ、面白くないのかむすっとすると幸ちゃんの手を強く引っ張り連れていってしまった。｢痛いママ！痛いよ！」幸ちゃんの悲痛な声が聞こえてきて助けに行こうとしたら、 ｢俺が行く」 ｢八つ当たりされたら大変だ」 信孝さんと龍成さんが二人を追い掛けていった。 他の入院患者とその家族に迷惑が掛かるからと病院のほうから言われ退院させることに決めた信孝さん。しばらく自宅療養で様子をみることになった。 ｢上澤先生がいっからなんとかなっぺ」 ｢斉木先生、色々とご迷惑をおかけしてすみませんでした」 ｢なんで未知さんが頭を下げんだべ。なるようにしかなんねべした。だから気にすんな」 斉木先生はウーさんを迎えに来たみたいだった。 ｢明日二週間ぶりの休みだからたまにはデートでもすっかと思って。おらの嫁こはどこさ行ったべ」 斉木先生があたりをキョロキョロしながら、ウーさんを探しはじめた。