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番外編 信孝さんの意外な一面
子どもたちの部屋から廊下に出たら柚さんと鉢合わせになった。「おはようございます」軽く頭を下げたら、不機嫌そうに眉間に皺を寄せてそっぽを向かれてしまった。
「おぃ!」
「青空さんストップ。喧嘩は駄目」
慌てて青空さんを止めた。
「守ってもらえるのが当たり前。愛されて当然。いいご身分だこと。ちやほやされてさぞや気分がいいでしょうね。でもね、あまりいい気にならないでね。昔、遥琉は無類の両刀使いだったよ。すぐに飽きられてどうせ捨てられるんだから」
柚さんからの体からお酒の匂いがぷんぷんと匂っていた。アハハハと狂ったように笑いながらふらふらと歩き出した。でもすぐに立ち止まり、
「ねぇ、泥棒猫って知ってる?知らないか。じゃあ教えてあげる。あなたみたいなのを泥棒猫っていうのよ。お願いだから他所の家庭に首を突っ込まないでくれる?どんな姑息な手を使ったのよ。私のめぐみや優輝や幸を手懐けて。ほんと最低ね」
そう吐き捨てた。
「これが酔っ払いの戯言というヤツか。なるほどな」
青空さんが納得したように大きく頷くと、ぽきぽきと指の関節を鳴らした。
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