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番外編ランチ会
ピンポン、ピンポンとコールが何度も聞こえてきた。
「おい、いつまでかかってんだ!呼ばれたらさっさと来い!」
「申し訳ありません」
ウェイトレスがひたすら頭を下げた。
大声で怒鳴りつけていたのはさっきの男性ではなく、ガラの悪そうな若い男性。男性と同じボックス席にふんずりかえって座っていた。いつからそこにいるんだろう。五分くらい前までは男性がひとりで座っていたのに。全然気付かなかった。
「眼鏡にカメラが仕込まれている。姐さんを守れ」
鞠家さんたちが僕たちの前に移動してきた。みんな座高が高いから、僕からは二人の男性の姿は見えなくなった。
「たとえ背中を刺されても俺らはそう簡単には死にません。姐さん、料理が冷めます。先にどうぞ。久弥もだ。先に食べろ」
青空さんと森崎さんが状況把握のため目と耳をフル回転させ、聞き耳を立てて自分たちの背後に細心の注意を払っていた。
「喧しいクソガキどもをさっさと黙らせろ!」
「料理の中に兄貴が不快なモノを見付けた、全部作り直せ!」
「お前では話しにならない。店長を呼んでこい!」
男性は理不尽ともいえることをウェイトレスに次から次に要求していた。
「兄貴を誰だと思っているんだ。菱沼組の若頭の鞠家だぞ!」
まさか鞠家さんの名前が出てくるとは思わなくて。驚いて箸を落としそうになった。
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