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番外編ランチ会

「俺も有名になったな」 「何を呑気なことを言ってんだ」 嬉しそうな顔をする鞠家さんにひろお兄ちゃんが呆れていた。 「店側が通報すれば間違いなく若井が来る。また面倒なことになるな」 蜂谷さんが大勢の客で混み合う店内をぐるりと見回した。 「出口は一か所か。窓も開かない。逃げ場がない。店員に厨房の勝手口から出れないか頼んでくる」 蜂谷さんが席を立とうとしたら、 「人様に迷惑を掛けるな。じいちゃんばあちゃんは人生の大先輩だ。困っているときは声を掛けて助けてやれ。子どもは宝だ。菱沼組の皆さんは組長の教えをしっかり守り、年寄りを邪魔者扱いせず優しくしてくれるぞ。なぁ」 「あぁ。子どもは煩くて当たり前だ」 男性たちの隣の席に座っていたおじいちゃんたちが声を上げた。 「あんた本当に鞠家さんかい?」 「あ?」 男性が目を吊り上げた。 「鞠家さんかと聞いているんだ。あんたつんぽか?」 おじいちゃんたちに見覚えがあった。お祖父ちゃんの剣道仲間だ。でもなんでここに?

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