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番外編 2年前、四季さんが巻き込まれた事件
「円谷は元デカだったのか」
「四季さんは二年前も今もやってもいない殺人の容疑を掛けられています」
「だろうな。円谷と現役のデカがグルになり四季を嵌めようとした。市民を守るべきサツが一人の青年を寄ってたかってイジメて何が楽しいんだか」
「四季の口さえを封じてしまえば真相は闇から闇へと葬り去ることが出来るからな」
若いころの円谷さんの写真を見ていた彼が、あっ!と声を上げた。
「……岩水だ。そうだ、見れば見るほど岩水にそっくりだ」
「岩水?」
「橋本さんの元彼です。四季さんにとっては頼れるお兄さん的な存在ですが、和真さんにとっては恋のライバルです」
「三角関係か……いや、ヤスもいるから、四角関係か。なんかいいなぁ。楽しそうで」
「あの、裕貴さん………」
「何だ?」
「喜んでいる場合じゃありません」
「悪い。そうだったな」
頭を搔きながら何気に二通の戸籍謄本を手に取るひろお兄ちゃん。見比べているうち何かに気付き、
「兄貴これを見てくれ」
驚いたような表情で彼に戸籍謄本を見せた。
戸籍謄本は円谷さんと橋本さんのだった。
岩水さんが部屋を片付けていたときに冷蔵庫の下から見付けたものだった。
「円谷は妻との離婚届を役所に出した翌日に橋本さんとの婚姻届を役所に出しています。離婚届を出されたことを妻は知りませんでした。婚姻届を出されたことを橋本さんも知りませんでした。離婚届も婚姻届も偽造された疑いがあり、警察が捜査に乗り出した矢先円谷は亡くなりました」
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