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番外編 四季さんが巻き込まれた2年前の事件

「それくらいで普通サツは動かない。となると別の容疑か……」 「察しがいいですね。さすがです」 「まわりが知っていて、自分だけ知らないのは誰だって嫌だろう。真山に連絡するか。ハチ、そこにいるんだろう?」 縁側に向かって声を掛けると、 「なんで分かったんだ。オヤジは何でもお見通しだな」 縁側の襖戸がすっと開いて、頭を搔きながら蜂谷さんが顔を出した。 「ハチ、根岸と伊澤と協力して二年前、四季が犯人と疑われた事件を洗い直してくれないか?」 「四季が関わったとされる事件を調べようとするとなぜか上からストップがかかる。もう終わった事件だ。退職するまで駐在所勤務になりたくないだろ?大人しくしておいたほうが身のためだってな」 蜂谷さんがずっと胸のうちにしまっていた、四季さんへの思いを打ち明けてくれた。 「世の中を変えようとして警察に入ったのに、たった一人の少年を守ることすら出来ないんだ。自分の無力さに気付いてしまい、警察の仕事に幻滅した。それはタマも同じだった。もう二度とその少年に会うことはないと思っていたのに、まさか再会するとは。運命の悪戯とはまさにこのことなのかも知れないな。同じ過ちはもう二度と繰り返してはいけない。二年前は四季を守ることが出来なかったし、刑事としてなにもしてやれなかった。でも、これから先の人生は四季の弾よけとしてこの命が尽きるまでずっとそばにいて守ってあげたいんだ。それで罪滅ぼしになるとはこれっぽっちも考えていないが。弓削が戻ってきたら、四季の弾よけをさせてくれ。この通りだ、頼む」 蜂谷さんが深々と頭を下げた。

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