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番外編2年前、四季さんが巻き込まれた事件

「タマに焼きもちを妬かれないか?」 「タマは分かった。好きにしろ。と」 「そうか。ヤスとハチと青空が四季の弾よけになれば鬼に金棒だな」 「弓削がもどってくるまでは姐さんに誠心誠意尽くします。それと俺が元刑事だったことは四季にまだ言わないで欲しい。時期が来たら俺のほうから話します」 「ハチ、初めて聞いたぞ。ひと言あってもバチが当たらないのに。水臭いぞ」 「悪い、ごめんな青空」 「なぁ、ハチ。四季とはどんな子だ?」 「どんな子だと聞かれてもな……写真がある。二年前のだがな。ちょっと待ってろ」 財布の中から写真を取り出すと青空さんに渡した。 「真ん中に写っているのが四季だ。当時十六歳だ。四月に高校二年に進学し、六月にやってもいない殺人の濡れ衣を着せられ、冤罪だと分かったあとでも疑われ、人間不信になりそのまま部屋に引きこもるようになり高校も休みがちになった。四季は十月に行く予定だった修学旅行にも行けなかった」 蜂谷さんの説明に耳を傾けながら、その写真を興味深く眺める青空さん。 「ハチ変態」 「は?なんで?」 「俺とタマがいながら年端のいかないいたいけな子どもに手を出すとは。駄目だろ?」 「人が真面目な話をしているときに急に何を言い出すかと思ったら……手を出したのは俺じゃない。和真のほうだ」 思わずずっこけそうになる蜂谷さん。 「和真はその子どもに手を出した。ということになるのか」 「まぁ、そうなるかな」 なんともとんちんかんな二人のやり取りに、 「まぁ、俺も人のことは言えないがな」 彼が終始苦笑いを浮かべていた。

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