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番外編オタサーの姫
ーあら、それってもしかして白雪夫妻を監視していた、ということになるわよね。白雪夫妻は一体何を隠しているのかしらね。秘密を暴いたとき、鬼が出るか蛇が出るか、楽しみねー
お姉ちゃんが嬉しそうにふふっと微笑んだ。
「そうだな。オヤジ、持ち場に戻ります」
銃を懐に忍ばせ柚原さんはN総合病院へと急いで戻っていった。
聡太くんの命が危ない。そう言い残して。
「聡太の火傷した足をよくよく観察したら手術痕があった。見逃すくらい小さな小さな痕跡だ。マイクロチップを埋め込んだのではないかと斉木は言ってる」
「何のために?そんなことを?」
「聡太を使って真山を監視し、やってもいない罪を宇賀神組に着せ内部分裂を起こさせるためじゃないか?橋本には真山以外にも男がいる。ソイツが黒幕だろう。未知はオタサーの姫、サークルクラッシャーというのを知ってるか?」
「ううん、はじめて聞いた」
「オタサーとは漫画研究会やアニメ同好会のようなオタク系サークルのことだ。若い女と話すのが苦手な奥手な男が集まる。一見清楚で汚れのなさそうな女が入ってくれば、男女比が極端だから自然とモテやすくなる。サークルの中で複数の男と関係をもったり精神的依存関係をもちそれが原因でトラブルを起こし、最終的には集団を崩壊させてしまう。今の宇賀神組がまさにこの状態にある。橋本の誤算は渋川が女に全く興味がないということだった。槇島はあの通りしっぽりした色香が漂ううら若い人妻にしか興味がないからな」
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