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番外編俺の子

自分では気付かなかったけど、口を開けて、呆気に取られていたのだと思う。 「どうした未知。あっぱぐちを開けて」 彼にクスクスと笑われてしまった。 「だってはじめて知ったから」 「弓削さんとヤスさんが仲がいいのは知っていたけど、まさか両想いだったとは全然知らなくて」 「当人同士の問題だ。外野がとやかく言うべきじゃないんだが、ほっといたら根岸と伊澤みたくくっつのが30年後になってしまう」 「それまで俺も紫も長生き出来ればいいがな。じっれったいわ、もどかしいわ、見ているこっちがやきもちする」 度会さんがやれやれとため息をついた。 「だから弓削は東京に行っていたのか」 「わぁーーびっくりした」 「頼むからいるならいるって一言言ってくれ」 ここにいないはずの柚原さんの声が聞こえてきたら、みんな一様に驚いた。だって足音も全く聞こえなかったし、気配も全くといってほど感じなかったから。まさに神出鬼没だ。 さっきまで後ろに誰もいなかったのに。気付いたら背後に柚原さんが立っているんだもの。びっくりしてわあっと声をあげた。 柚原さんは防弾チョッキを着て黒革の手袋をはめながらあたりをぐるりと見回した。 子どもたちに向ける優しいぱぱたんとしての眼差しから獲物を狙う猛禽類の眼差しへ。ガラリと目付きが変わった。 「白雪美容室の隣のビルにテナントとして入っているコウナン商事は神政会のフロント企業だ。放火犯を匿っている疑いでガサ入れに入ろうとしたサツと両者一歩も譲らず睨み合いをしている。いつドンパチがはじまるか分からない状況だ」

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