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番外編海堂さんが四季さんに固執する理由

「お姉ちゃん、四季さんのご両親のことなんですが」 意を決して聞いてみた。 ーこころやすらぎ会はシェドの教団とまったく同じことをしているわ。氷山の一角だろうけれど被害を訴える人も大勢いるし、いまだに行方知らずの女性信者も大勢いるわ。情報を求め家族が今も子どもの写真を手に街頭に立ってるわ。あれを見て、なんとも思わないんだものね。海堂は鬼よー お姉ちゃんの気がかりはヤスさんのことだった。 「ヤスは大丈夫だ」 颯爽と現れたのは度会さんだった。 「海堂がなんで実の息子のヤスではなく四季にあれほど執着するか、その理由は一つしかない。この際だ、白黒はっきりつけろとヤスに言ったが、四季と和真の結婚式が終わるまで待ってくれと言われた。同じ海堂の血が流れている。それによって四季が苦しむのが目に見えているからな」 ーヤスは優しいからねー 「それがヤツの長所であり短所だ。今日も天気がいいな。千里、そっちはどうだ?」 ーこっちも晴れてるわー 「そうか」 度会さんが腕を前で組み空を見上げた。 ーあのバス事故はいまだに分かっていないことが多すぎる不可解な事故でしょ?ー 「俺は犯人がもう一人いて、わざと事故を起こさせて多くの死傷者を出した事件だと思っているがな。推測だが犯人の狙いは四季か、もしくは四季の家族だったんじゃないかと」 「オヤジの言う通りあの大事故でよく四季は生き残ったものだ」 「確か四季以外の運転手と乗客四十三人全員が亡くなったんだよな」 幹部たちもバス事故のことをよく覚えていた。

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