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番外編海堂さんが四季さんに固執する理由
「田園風景が広がる人家もまばらな山あいののどかな農村で事故は朝方に起きた。にも関わらず事故発生の十分後には事故を目撃した地元民がすぐに駆けつけて警察と消防に連絡して救助をはじめた。犯人にとってそれは誤算だった。そんなに早く駆けつけるとは想定外だったんだろう。だから四季にとどめを刺さず立ち去った。だから四季は生き残ることが出来た。結の弟の伴侶として四季と出会った時は驚いた。亡くなった四季の両親が引き合わせてくれたんだろう。真相究明してほしい。どこかでのうのうと生きている犯人を捕まえてくれと。バス事故には海堂が絡んでいる」
「樋口のことを調べるついでに鈴木のことも調べてみますか。あとバスに追突したタンクローリーを運転していた宗形のことも」
「そうだな。手分けしてあたってくれ」
幹部たちに指示を飛ばす彼。
きりっと男らしく凛々しい姿にキュンと胸がときめいてしまった。瞬きも忘れ見入ってしまった。
ーいいなぁ~~遥琉お兄ちゃんはー
「どうした?」
ーだって未知が見惚れるくらい格好いいんだもんー
「毎日見てんだぞ。未知が俺なんかに見惚れる訳が……」
彼と目が合い、慌てて顔をそらした。
「参ったな」
彼が困ったように。でも嬉しそうに頭を掻いた。
「ひ、陽葵が起きてないか見てくるね」
陽葵にかずけてその場から逃げ出した。
部屋に戻ると置きっぱなしにしてあった電話が鳴っていた。見ると地竜さんからだった。
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