3066 / 3594
番外編人を引き寄せる不思議なちから
「紗智さんと那和さんが中国のフリマサイトを見たいと言って、柚原さんがアクセスしてくれたの。僕のほうこそ言うのが遅くなってごめんなさい」
「謝る必要はない。柚原から話しは聞いていた。どうしても欲しいものがあったみたいだ。それと紫竜が来日するのは本当らしい。日本の美容整形外科で火傷の跡を目立たなくするための治療を受けるとか、ほくろを除去するとか顔を変えるとかいろんな噂が流れている」
「地竜さん大丈夫かな」
「ヤツは不死身だ」
「死神のメンバーと真っ昼間から喧嘩とかしない?」
「通りの真ん中でいきなりドンパチをおっぱじめるかもな。大陸の連中はみな気が短く、血の気が多いからな」
「それと……」
言いにくそうに彼を見ると、
「いろんな意味で変わったのが多いってだろ?千里がな、黒竜には覃と宋と石山みたいのがうようよいるから襲われたくなかったら一人では出歩くな。二人以上で行動しろと号令を出したところだ」
呆気に取られていたら、
「そう言ったほうが分かりやすくて効果覿面だろ?地竜が四割は新しいメンバーに変わったと話していたが、残り六割はそのままだ。男も女もいけるのがわんさかいるらしい。だから今から口酸っぱく言って若い構成員に警鐘を鳴らし警戒を怠らないようにしないと。今の若いのはスマホばっか弄って、ろくすっぽ返事もしない。聞いてんのか?注意するとキレたような言い方で返事をする。千里も言っていたが、生き残るためには意識改革が必要かも知れないな」
紫竜には一度だけ会ったことがある。本物だったのか、影武者だったのか、確認する術がないからよくは分からないけど近寄りがたい異様なオーラを放ち、獲物を付け狙うような獰猛な目付きをしていた。思い出すだけで今もぞわぞわと鳥肌がたつ。
ともだちにシェアしよう!