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番外編人を引き寄せる不思議なちから
二十三年前は跡目を巡り内部抗争が起き、十七年前は千夏さんと白雪夫婦の娘さんが相次いで失踪し、十五年前は青空さんが何者かに誘拐され同じ年にまた二人の女性が忽然と消えた。そして十三年前は磐越自動車道バス事故が起きて大勢の尊い命が奪われた。
奇数の年だ。しかも二年おきに大きな事件、事故が起きている。
「偶然なのかな。でも、これ絶対おかしいよ」
「何がおかしいんだ?」
彼が部屋に入ってきたから心臓が止まるくらい驚いた。独り言を聞かれてしまい恥ずかしさで頬が朱に染まった。
「聞かせてくれ」
彼が隣に腰をおろした。
「家出した。事件に巻き込まれた可能性は低い。二年前に千夏さんと白雪さんの娘さんが行方不明になっているのに、なんで?」
「管轄が違うんだよ。川のこっち側は東京で、向こう側が千葉県で、すぐまた茨城県に入る。一都二県に股がっているんだ。サツは今ごろになって初動捜査の遅れを認めた。事件が起きなければサツは動かない」
彼の手が肩に回ってきて、そっと抱き寄せてくれた。
「悪戯しないから逃げないでくれ」
別に逃げようと思ったわけではないけど。そう思われたなら仕方がない。しなだれるように寄り掛かかると
「やけに素直じゃないか」
嬉しそうにチュッとキスをしてくれた。
彼の表情は冴えなかった。
「いやな、偶然にしては出来すぎていると思っただけだ。根岸たちが戻ってきたら詳しく話しを聞いてみるよ」
「遥琉さん、ネットでチラッと見たんだけど紫竜さんが来日するって本当?」
彼の表情が一瞬強張った。
「ごめんなさい。変なことを聞いて」
「変なことじゃない。いずれは言わないと、とは思っていたんだ。ごめんな、言うのが遅くなって」
いちいち謝らなくてもいいのに。
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