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番外編40年前に起きた未解決事件
彼が根岸さんと伊澤さんと話をしている間、手持ち無沙汰の地竜さんは僕の膝枕でごろんと横になり、至福のひとときを過ごしていた。
「子供たちの寝顔を眺めつつ、下から愛する妻を見上げる幸せ。生きていることを改めて実感する。未知、愛してるよ。未知は?」
僕を困らせようとわざと意地悪な質問をする地竜さん。どう答えていいか悩んでいると、
「困った未知の顔もなかなか可愛いな。たまらん。ますます好きになった」
くすくすと愉しげに笑いはじめた。
「お、珍しいな。卯月が焼きもちを妬かないなんて。明日は雨が降るぞ」
「心配しなくても明日は降水確率100%だ。小学校から不審者がいるから登下校の際は集団登校か、親が送迎してくれとメールが来てる。下半身を露出して自転車でうすらかすらしている男が度々目撃されているんだ」
「物騒な世の中になったものだ。明日は俺が一太たちを送っていく。それくらいしか出来ないが、帰ってきたときくらい未知の手伝いがしたいんだ」
地竜さんが腕を挙げ、手の甲で頬を撫でてくれた。
むすぐったくて思わず身を捩らせると、
「未知は全身どこもかしこもくすぐったいんだな」
地竜さんに苦笑いをされてしまった。
「パパ、ママ、ただいまーー!ディノンさんが帰ってきたって聞いたんだけど」
一太の声がして、
「あ、いた!ハルちゃん、幸ちゃん良かったね。ディノンさんいたよ。帰ってなかったよ」
遥香と幸ちゃんと仲良く手を繋いで一太が姿を現した。
「お帰り。一太は見ないうちに身長が伸びたか?ハルちゃんも幸ちゃんも元気そうで良かった」
地竜さんがむくっと上体を起こした。
「たいくんたちは昼寝中だ。起こなさいように居間で遊ぼうか?」
小声でやったー!小さくガッツポーズをする一太たちを地竜さんは目を細め嬉しそうに眺めていた。
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