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番外編 堪忍袋の緒
「柚原さんだって堪忍袋の緒が切れることがあります。若井さんには言いたいことが山のようにあります。四季さんのこともそうですが、依然として行方知らずの海翔くんと鉄将くんのお母さんのことをろくすっぽ探そうともしない。犯罪に巻き込まれたことは明らかなのに。柚原さんが銃を手に握るときはよほどの理由があるときです」
橘さんは怖いくらい落ち着いていた。
「それはそうと宇賀神さんの行方は掴めたんですか?」
渋川さんに掛けるつもりが間違って彼に電話を掛けてしまった宇賀神さん。「助けてくれ。アイツら」という意味深な言葉を残し電話が切れてしまった。すぐにリダイアルで掛け直したけれど繋がることはなかった。
「槇島の舎弟たちが地蔵さまみたく全く動こうとしない。渋川もかなり手を焼いているみたいだ」
「俺らはカシラの舎弟だ。何でお前みたいな青二才の言うことを聞かなきゃならないんだ。常に上から目線。主の命令しか聞かない。なんとも忠実な僕たちだ。今から渋川に媚びを売っておかないとのちのち大変なことになるのになんで気付かない?」
太惺が地竜さんの膝の上にたっちし、ぴょんぴょんとジャンプをはじめた。バランスを崩しひっくり返ったら大変と、そっと脇の下に手を差し入れて体を支えてあげた。
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