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番外編 紫竜さん
「柚原さん、橘さんこの人たち警察の人じゃありません」
ネットニュースを見ていた僕は違和感に気付いた。この人たち日本人じゃない。
「よく気付きましたね」
「さすがは姐さんだ」
「なんとなくです。もしかして死神のメンバーの方々ですか?」
「敵を欺くならまずは身内からという言葉があるくらいですからね」
「斉木、忙しいところ悪いな。ついさっき髪が紫色で派手なフレームの老眼鏡を掛けた腰の腰の曲がった婆さんがN総合病院に緊急搬送されなかったか?」
ー発砲事件が起きて逃げる際に転んで動けなくなったばあちゃんなら救急外来で手当てを受けてっぞー
「斉木、落ち着いて聞いてくれ。地竜の話だとソイツが紫竜だ」
ー紫竜っていったらあれだべした。マジかー
「いいか斉木。お前は自分の倅とハツさんを守れ。ヤツの狙いは義夫だ。紫竜は公安とサツにマークされている。大事にはしたくないはずだろうから、義夫にトドメを刺してから、ハツさんと陽彩も手に掛けるかもしれない」
急に黙り込んだ斉木先生に大丈夫か?と声を掛ける彼。
ーバーバさんの息子婿になるって決めた時から俺、覚悟を決めてんだ。カタギじゃなくてもいい、やくざの片棒を担いでいてもいい、なにがなんでもウーと息子と、そしてウーが大好きな家族と菱沼組を守るってなー
「斉木すまんな。おれの息子婿になったばかりに危ない橋ばかり渡らせてしまって。地竜と一緒に急いで向かっているから、くれぐれも無茶な行動はするなよ」
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