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番外編開けてはならないパンドラの箱

「洗面所の前で女子会トークか。わちゃわちゃして楽しそうでいいな」 むすっとした声が廊下から聞こえてきた。 「あら、もしかして未知とひまちゃんに焼きもちを妬いてる?」 「な、な訳ないだろ」 「呂律が回ってないわよ。図星ね。本当に分かりやすい人」 ププッとチカちゃんが吹き出した。 最終の新幹線でそれぞれ帰るふたり。一太たちがなにやら計画を立てているみたいで、昨夜も遅くまで子供部屋からひそひそ話しが漏れ聞こえていた。 「未知、アタシたちは第三者だから口を出せない。見守ることしか出来ないけど、これだけは言わせてもらうわ。絶対に礼さんのお姉さんたちにお金を返しちゃ駄目よ。犯罪の匂いしかしないわ。よし、やっと髪型が決まったわ」 ヘアアイロンを手に小さくガッツポーズをするチカちゃん。 「わるい大人たちにいいようにされて今も苦しんでいるめぐみの苑の卒園生のために使われるべきお金が犯罪に使われる。これじゃあ本末転倒でしょう」 「あのチカちゃん、国井さん。遥琉さんと信孝さんに直接聞くのが怖くて聞けなかったんですけど……」 軽く唇を噛み締めた。 「礼さんにもしものことがあった場合、遺産相続にナオさんが巻き込まれるということはないですよね?縁も切ってますし、もう赤の他人だから。でも万が一礼さんがナオさんに遺産を相続させると遺書を書いていたらどうなるのかなって。福光家の息がかかっていない弁護士に礼さんが会っていたと耳にして急に不安になったんです」 「ここだけの話しよ」 チカちゃんが小声で言うと人差し指を唇の前に立てた。

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