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番外編盆踊り大会
幼稚園の盆踊りに行ったと橘から聞いたが」
「たいくんとここちゃんが心配だから最初だけいて鍋山さんと譲治さんと一緒に帰ってきた。森下さん、もし良かったらだけど焼きそば一緒に食べますか?」
レジ袋を掲げる久弥さん。
「食べる!」
嬉々として答える森下さん。
「森下、まずはオヤジの婿殿たちに挨拶が先だろうが。たく、誰ださっきプライベートと仕事はきっちりと分けられると言っていたヤロウは」
柚原さんの声は森下さんに届いていなかった。
「鷲崎さんと七海さんにせっかく新しい浴衣を送ってもらったんですが、二人とも熱を出してしまって……」
「これからも着る機会はあるでしょうからオヤジも姐さんも気にしていませんよ。早く熱が下がるといいですね」
「そうですね。呼び止めたりしてすみませんでした」
「いいえ」
「差し出がましいようで恐縮ですが……」
何か言いたげな柚原さんのほうをチラッと見ると、
「あ、いたんだ」
ようやく玲士さんがいることに気付いた森下さん。
「久弥ここで待っててな。挨拶してくるから。どこにも行くなよ。決して動くなよ」
念には念を入れて。森下さんが慌てて戻っていった。
「忙しい人」
ププッと久弥さんが笑い出した。
「スマホ落としていった」
譲治さんがすぐに気付いて拾ってくれた。
「せっかちなのも相変わらずだ」
「それってまわりが見えないくらい久弥さんが好きなんだよ。いいなぁ」
「そういう譲治さんだって覃さんと仲が良くて羨ましい」
「そうかな?そうでもない。普通かな?」
いつの間か二人は仲のいい友だちになっていた。彼氏とは離れ離れ、兄弟とも離れ離れ。似たような境遇だから意外と馬が合うかもな、あの二人。彼が言ってた通りだ。
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