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番外編 おかえり
「悠仁以上のクズ男はいないと思っていたが、やっぱりいたな。菱沼金融にもいる。クズ男に沼り借金をして男に貢ぎ人生のどん底を味わった女が。俺の母も同じ、他人事ではなかった。ということだろ?俺は五歳のガキで力がなかった。男なのに母を守ることも助けることもできなかった。悔しくて悔しくて。自分に腹が立つ。時間を巻き戻せるなら十五年前に今すぐ戻りたい」
右手をグーに握り締め、悔しさを滲ませて唇を噛み締める青空さん。
「全国津々浦々昇龍会の情報網を張り巡らせたら、死んでいない限りは必ず網にかかる。たとえ戸籍を売って別人に成りすましていたとしてもだ。千里を信じて待っててくれないか?必ず探し出してやるから」
「オヤジにもまたひとつ借りが出来た。たまりすぎて一生かかっても返せないぞ」
「気にすんな。俺にとって舎弟はみな家族も同然だ」
「ただいま。おかえり。ありがとう。これはとても大切な言葉なんだと最初に教えてくれた一太に感謝だな。言える相手がいるということは幸せなことだとも教えてもらった。一太の言う通りだ。オヤジ、ねえさん、ありがとう」
青空さんが鼻を啜りながら頭を下げた。
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