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番外編 おかえり

刺青のことや自分のことを忘れてしまったのではないか。あれこれ心配していた青空さんだったけど、杞憂に終わった。 「お帰り青空。見ないうちにずいぶんとまぁ、大きくなって。このくらいだったのよ。ちょこまか動き回ってきっとしてなくてね」 寺嶋さんの奥さんが目を潤ませながら青空さんの顔を見上げると、手を伸ばし膝のあたりに触れた。 「しわしわの真っ黒だ。働き者の手だ」 青空さんがその手をそっと取ると愛しそうに見つめた。 「ごめん、帰るのが今になった」 「お帰り。そんなことないわ。私たちのほうこそごめんなさいね。苦労を掛けたわね。本当に……」 ごめんなさいを何度も口にして寺嶋さんの奥さんがその場に泣き崩れた。 「あと二人か三人。まだ女の子が行方不明になっているんでしょ?青空が帰ってきてくれて嬉しいのよ。でもねその女の子たちの家族になんか申し訳なくてね。合わせる顔がない」 ひとしきり泣いて。寺嶋さんの奥さんが声を震わせながら本音を漏らした。 「千夏みたく絶対に大陸で生きている。そう信じて待てばいつか叶う。俺が帰って来れたんだ。みんな帰って来れる」 青空さんは寺嶋さんの奥さんに寄り添いずっと背中を擦っていた。

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