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番外編宋さんのお友だち
「また襲われそうになったんですね?」
項垂れて小さく頷くチカちゃん。ポツリポツリと何があったか話してくれた。
「東京行きの新幹線を待っていたときからずっと視線を感じてて。自由席だったから三十分ごとに座席を変えていたんだけど、それでもやっぱり誰かに見られるような気がしてならなくて。自信過剰かも知れないけど。怖いってハルくんにメ―ルをしたら弓削たちに迎えに行かせるってすぐ返信が来たの」
「K駅に着いてプラットホームに弓削さんとヤスさんたちの姿が見たときはほっとしたわ。ドアが開いて降りようとしたら、後ろから腕を掴まれたの。怖くて体は動かないし、降りたくても降りれないし、閉まるドアに気をつけてくださいとアナウンスが流れるし。そしたら弓削さんがあたしのことを抱き上げてくれて。俺の女だ離せって。弓削さん、格好よかったわ。低音ボイスに痺れちゃったわよ」
「だから手首が赤くなっているんですね」
「弓削さんにありがとうって言ったら、礼はいらない。ねえさんの大事な人を守るのは当たり前だって言われたの。未知、弓削さんが無事に帰ってきて良かったわね」
「帰って来て休む間もなくすぐに未知さんの弾よけに復帰しましたよ」
橘さんがカフェオレを飲みながら淡々と答えた。
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