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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「宋さんが警察に事情を聞かれたと聞きました。正体がバレたんですか?」 「安心して下さい。バレてはいません。刺して逃亡した犯人の顔を見たなら協力してほしいと頼まれたそうです」 「山龍さんは落ち着いていますね」 「そうでもない。これでも心配している。未知のほうこそ落ち着いている」 「僕も山龍さんと同じです。心配しています」 「浩宇(ハオユ―)に限って……いえ、何でもありません。そろそろ帰ります」 「あ、あの、ちょっとだけ待ってもらってもいいですか?」 「いいですけど、ちょっとだけですよ」 急いで部屋に戻り、一太と遥香と一緒に書いた手紙を持って玄関に急いで戻った。 「これを地竜さんに渡して欲しいんです」 「確かに預かりました。一文書きます?」 「いえ、大丈夫です」 「これ、写メ撮りました?」 「撮ってはいませんけど、撮ったほうが良かったですか?」 「だって俺がこれを失くしたときショックだろう?」 そこまで頭がまわってなかった。 「でもな、失くすことはほぼないから安心していいぞ」 山龍さんがクスクスと笑った。 「楽しいのは分かるが、ねえさんをからかわない」 青空さんが苦言を呈した。 「なんで電話が繋がらないのよ。病院から警察署に移動するときが一番危ないのに」 「チカちゃんどうしました?」 「要田くん……えっとね、要田くんはダーリンの部下なのよ、上司が諸越さんね。会計が終わったのでこれからK警察署に移動しますって留守番電話に入っていたのよ。着信があったことに気付かなくてね、すぐにリダイアルを押したんだけどぜんぜん繋がらないのよ」 チカちゃんが心配そうに携帯電話の画面を見つめた。

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