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番外編彼が大好きな、彼フェチのりんりんさん

「藤田さんの友人の若林と申します。友人を迎えに来ました」 (俺のワカはよく出来る男だ。あとで全身撫で撫で、たんまりと可愛がって……じゃない、うんと褒めてやらないと) 「そうですか。そちらの方は?」 若い巡査が訝しげに聞いた。 「須釜製作所の取締役社長をしています朝宮と申します。若林の上司で、藤田とは友人です」 (もう一人いた。優秀な男が。さすがは四季の夫。いちいち説明をしなくても状況を見て瞬時に判断し話しを合わせてくれる) 宋さんが身分を示すものとして提示した免許証は偽装したものだった。バレないかヒヤヒヤしていたと思う。そんな時に颯爽と現れたのは若林さんと朝宮さんだった。まさにヒ―ロ―だ。 「これは任意ですよね?かれこれ二時間以上事情を聞いていますよね?彼、仕事中だったんですよ」 「すみません、免許証の照会に手間取っていて……」 「一時間も掛かるものなんですか?」 間一髪いれずに質問責めにする朝宮さん。四季さんがさんざん警察に疑われ、嫌な思いをしてきたから、朝宮さんは警察が大嫌いだった。だから臆することなく毅然とした態度で強気に出れたのだと思う。 「助かったよ」 やっと解放されたのはそれから三十分後。 「礼は俺たちではなく柚原さんに言ってほしい。やくざが迎えに行ったら話しが余計に拗れるからと頼まれたんだ」 「ますます柚原に惚れてしまうじゃないか」 「藤田、若林に焼きもちを妬かれても知らないぞ」 朝宮さんがクスクスと苦笑いを浮かべた。

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