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第2話
もう。
どちらが先に裏切ったなんて事はこうなってしまえば関係ない。
「…よぅ…」
掠れた声でつぶやいた。
「ああ」
なにも興味のなさげな低いトーンで返事を寄こす。
俺はふらふらと近づく。
座っていた漢が立ち上がった。
その身体は俺よりも大きく、そして頑丈。
うっ血して冷たくなった手に触れると
「…こんなに固く縛りやがって…」
そういうと、ほんの少しだけ眉を顰(ひそ)めた。
血で塗れた刀に怯みもせず、固く結ばれた手拭いを解く。
強張って上手く開かない指をひと指ずつゆっくりと開いていった。
手から刀を抜くと放り投げた。
じんじんと痺れる右手を大きな掌で包む。
しばらくすると、漢の体温と血液が巡る熱で感覚が徐々に戻ってくる。
漢の掌の熱が、昨晩の行為を蘇らせた…。
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