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第19話
愛良side
休み明けの学校で、朔久は私のことをまた苗字で呼んでくるから、"名前で呼んでくれないんですか?" と拗ねて見せると……
「だ、だって……、あの時を思い出しちゃって……。恥ずかしいからっ…!」
「……そ、うですか…。分かりました。我慢します……。ではまたヤるときは、私のこと名前で呼んでくださいね?」
耳元で囁きわざと意識させた…。意地悪なのは分かっているけど、これくらいは許してほしい……。だって、あまりにも可愛くて手を出したくなったから…。
恋人になる前は、隣にいるだけで良かったのに…。恋人になって、一度寝てしまったら、もっと欲しくなってしまう…。恋って厄介なものだったんだなぁ……。
「ねぇ、夏弥…。僕ね…、春と愛生は両片思いだと思うの。なにか相談されたら乗ってあげようね?僕たちがこんなに幸せになれたの、彼らの協力のおがげだもん。今度は僕たちが手伝ってあげようね!」
「はい。そうですね……。よく相談に乗ってもらいました…。今度は手伝ってあげるべきだと私も思います」
「早く一緒になったらいいのにね。お互いに捻くれた性格してるから……」
「見た目が可愛いというだけで、色々大変な目にあってきたんでしょう…。少しトラウマになっているのもあるんじゃないですか?……あの二人にはあの性格でないと生きられない場面があったんでしょうね…」
そう言ったら、悲しそうな、泣きそうな顔で、"そうかも……。でも、二人ならきっと、もっと楽になれる" なんて言うから…。
思わず抱きしめてしまった…。そうしないと消えてしまいそうなほど儚く見えたから
「大丈夫です。二人もきっと上手くいきます。朔久の側には私もいます。だから、そんなに悲しそうな……泣きそうな顔をしないでください…」
「うん。そうだね…。きっと上手くいくよね…。ありがと、夏弥。夏弥がいれば、僕は…、何があっても、どんなに苦しくても乗り越えられる気がする。夏弥も辛いことあったら僕に頼ってね⁇ 二人で一緒に乗り越えようね?」
「はい。二人で一緒に…」
その優しさに私がどれだけ救われたか…。きっと朔久は気付いてない…。それでも、何かを察して辛いときはいつもそばに居てくれるから…。朔久がいてくれたから……。
あの日から私たちは、人目を避けて生徒会室でイチャつくことが時々あった。どうしても辛いときは二人で籠って泣きあったりもした…。
こうやって二人で、何年も、何十年先も、一緒に乗り越えて、強くなるんだ…。そう心に誓って……。愛に誓って……。神に感謝をするんだ……。
ー 出会わせてくれて、ありがと ー
甘い二人の時間を見られて茶化されたり、同性愛なんてと貶されたとしても、平気だ…。
だって、隣にはいつも愛しい人が居るんだから……。
Fin
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