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【紫電一閃】吐夢
草木が生い茂った山の麓に、汗を流しながら畑を耕す農民がいた。麦わら帽子を被り日を避けながら、流れる汗を首に掛けた布で拭き取った。
「おやま、朝からこんなに暑いと土も干上がっちまうねぇ」
大きな荷物を抱えた、ふくよかな女性がその麦わら帽子の青年に畦道から大きな声で話しかけた。
「エリザベータさん、いつもお世話になってます」
挨拶に帽子を取ると真綿のような髪がふわりと風に靡いた。まるで、たんぽぽが種を飛び立たせる前の様な柔らかそうな髪であった。
「ふふっ、相変わらず綺麗なお顔だこと。早く嫁取りして孫の顔を見せてね」
そんな事を言いながら、エリザベータと呼ばれる女性は去っていった。人口も100人ほどの小さなこの街で育った少年。名をサイモンといった。
近くの大きな街の中心にある王家の領土であり、炭鉱で栄えたが取れる全てを掘り出した後人々は王の住まう街へと移住して行ってしまった。
「はぁ...天気がいいな」
炭鉱閉山後のこの土地は枯れる一方であった。そのため毎年人口は減っていく。稼ぎ口も衰退し今や、荒地に畑を耕し自分の口にするものを育てるだけで精一杯といった場所。
そんな場所にサイモンは住居を持っていた。無論若手の男は働き口を探し、村を出て行ったので、この村はほんの一握りの若者と炭鉱上がりの老人で人口のほとんどを占めている。
嫁をとれと言われても、若い女性は出産のためや子供の教育のため生活環境の良い都会へと移り住んでしまっているのだ。
「そろそろばぁちゃんが散歩から帰るな」
手をパンパンと叩いて土を落とし、ズボンの土も落とすと、汗を拭って荷物を持った。その中に今日の収穫分の芋が少しと、カブや豆が数量入ったカゴを持って近くの家へと戻っていった。
「サイモン...おかえり」
「ばぁちゃんもお帰り、今日はとてもいい芋が採れたよ」
キッチンに採れたての野菜を置いて洗うと、そのままその場所に置いて部屋へと上がった。
「これから仕事かい?」
「うん、今日はお偉いさんが来るみたいで、僕は店番だろうけどね」
そう伝えながら着替えを終わらせて祖母に行ってくるとキスを送った。
「気を付けておいき」
「うん、じゃあ行ってくる」
斜めがけの使い古して変色しているカバンにパンを押し込んで家を出た。
サイモンの職場は靴屋である。そこの店主に声を掛けてもらい、数年前から仕事を貰っている。元々職人気質の店主でこの村が廃れても、土地を離れる気は無いと今まで頑張って店を切り盛りしてきた男だ。
挙句に移ったら良いのにと提案されても靴が欲しけりゃここまで買いにこいと言い出す始末である。デザインシューズ等であれば街で沢山の物流があるが、革の靴だけは、職人の腕がいい所に発注に行くのが、この時代の貴族だった。
「おはようございます」
サイモンが、店内に入るとすぐに店の中にあった看板を店の前に立て掛ける。
CLOSEと書かれた板を裏返せばOPENの文字に変わった。それを見て気合を入れたのかフンと一息付くと店内に入り、並んでいる数点の見本の革靴を、磨き始める。
「サイモン...そろそろ来るはずだから、奥に通せ」
真っ白な頭に白いハチマキをし、無造作に伸びた髪は括られていて、髭を顎下で結んでいた老人に声をかけられて、サイモンはニッコリと笑顔を向けてから「わかりました」と返答をし、いつも通り靴を磨いていた。
カラン...と、ドアが開く音に気付かずひたすらに靴を磨き、白布で乾拭きをすると靴が鈍く輝いた。
その光に人影を見て慌てて顔を上げると、いかにも上品そうな男が艶やかな髭を撫でながら自分を見下ろしていたのに驚いたのだろう。
「うわっ!?」
「おお、すまんな、驚かせたか?」
仕立てのいいスーツ、乱れること無く整った髭、その紳士の姿に来客だと慌てて奥の作業場へ男性を通した。
「ジュエルはここで待ちなさい」
その言葉に、サイモンは慌てて紳士の背後を見ると、紳士とは別に人が居ることに気付いた。
思わずサイモンは口を開いたままで、美しさと逞しさを兼ね備えた美青年に魅入られて言葉が出せなかった。
名前の通りにまるで宝石かと疑う程の輝き。切れ長の目に鼻梁がすっと通っていて身を包む服装は高級感漂うのに、それに負けることない躯体。サイモンは軽く目眩を覚えた。
「えっと...私はジュエルといいます、良ければ名を教えてはくれないか?」
「あっ、えっ...さ、サイモンといいます」
ぎこちなく返事をすれば、サイモンの手を暖かい何かが包んだ。
「サイモン!良ければ、この街を紹介してはくれないか?」
ジュエルは友好の証と言わんばかりにサイモンの手を強く握り、目をキラキラと輝かせて問う。
「でも私はここの店番で、仕事中なのです...申し訳ございません」
丁寧に頭を下げ謝罪すると、背後から声がした。
「時間がかかる、サイモン行ってきなさい」
その声に慌てて振り向けば店主が奥の部屋から出てきたのだ。
「しかし!」
「サイモン」
反論は聞かぬとばかりに言葉を遮った店主に、サイモンは了承せざるを得ない。「わかりました」そう返すと、靴屋のドアを開けた。
「ジュエル様...僭越ながら私がご案内致します」
その言葉にジュエルも、ひとつ頷いて靴屋を出た。太陽が未だ天頂に届いていないというのに、日はどんどんと熱を発し、男達に微かな熱風を送り付けてくる。
「暑い...な」
ジュエルはピッタリとしたスーツを着用していたために、風が通り抜けず暑さを感じているのだろう。じっとりと吹き出す額の汗を鬱陶しいと言わんばかりに腕で拭った。
「ジュエル様、まだ使ってませんからこれを...」
最近の暑さに、サイモンはタオルを必ず持ち歩いていた。そのタオルを渡せば「ありがとう」と、一言告げて額から流れる汗を拭った。
「しかし、暑いな...日除けできる場所はこの辺りにはあるのか?」
街の中の案内よりも先に身体の熱をどうにかしたいとジュエルが問うと、サイモンはにっこり笑って「こちらです...」と道案内を始めた。
少し歩くと木々が繁る奥に、さあぁと水の流れる音。そして一気に気温が下がったような感覚にジュエルは目を見開いた。
「川か」
「はい、標高の高い山から流れ出るので、水温はかなり低いです」
そう伝えて、茂みを掻き分けると目の前に川があり少し右手には、大きな石橋が建っていた。
「ははっ、これはいい」
そう言うなりバッとスーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイシャツの胸元のアスコットタイを無造作に解き、首元から抜き去ると今度はシャツのボタンを外し始めた。
「ちょ、ジュエル様」
捨てられていく服をメイドのように拾いながらサイモンが後を追うが、ジュエルはお構い無しと靴を脱ぎ捨て、靴下を脱ぎズボンの裾を捲り上げると水の中へと躊躇なく進んでいった。
「ははっ、気持ちいいぞ!サイモン」
無邪気...としか言葉が出ない。足は脹脛 が半分ほど浸かった状態で、上半身は裸なのだ。驚いて目をぱちくりさせたサイモンも、この暑さに確かに脱ぎたくもなるなと拾い集めた服を畳んで置く。
「ほら、早く来い!魚も見えるぞ!」
楽しそうに呼ばれ、サイモンも靴を脱いで中へと足をつけた。
「うわぁ、冷たくて気持ちいい」
近くの大きな岩に腰掛けてサイモンは足をパチャパチャと揺らすと、横にドスンとジュエルが座って驚いた。身分の違いでの親身な交流は、死罪にも値する。
「わ、場所は譲ります」
一緒に水に浸かった時点で、ダメだったのかもしれない...そんな事を考えながら川から出ようとした時だった。
「サイモン!気にするな、私がここに座りたいから座った。サイモンの横でなければ意味が無いだろ?」
この男は何を言い出したのかと、サイモンは驚いた。普通の貴族はこんなにも親しく話しかけてなどこないし、虫けらでも見るように扱うのが当たり前だと思っていたのだ。
「いいか?全ての人は平等でなくてはならん俺はそんなもので態度は変えん」
なんと凛々しい事かと、サイモンは頬を緩めた。相当緊張していたのであろう。筋肉が強ばっていたのがスっと消えた時、変な脱力感を覚えた。
「うわ」
カクンと膝が抜けてしまい、石に寄りかかっていたサイモンが、思わず声を発する。崩れ落ちそうになった身体をジュエルが支えた。
「あ、ありがとうございます」
「そこまで緊張させてたか、悪かったな」
そう苦笑いしながらジュエルが告げた。緊張なんてものじゃない。死刑になどされたら祖母が悲しむ。それだけはしたくない。そう考えていて余計に身を固くしてしまっていたのかもしれない。
「それにしても、白く細い身体なんだな?」
筋肉は付きにくく、昔からのコンプレックスであった体型。理想の体型の人に言われるのが一番苦しかった。けれどそれを見せてはならないと、表情を隠すかのようにサイモンは下を向いた。
「あ、あの、ジュエル様は何時にお戻りに?」
時間はかかると聞いていたが、戻り時間までは確認していなかったと、サイモンが聞けば、ニッコリ笑って「夕方には帰る」と答えた。
「なら、そろそろ川から出て街を見なくては...」
サイモンが川から出れば、暑い空気が一気に身体に纏わり付く。しかしいつまでもこの場所にいる訳にもいかないので、靴を履いてまだ川から上がる気配のないジュエルに畳んだ服を差し出した。
「無理に着なくて良いです...半裸で歩く人も沢山いますから...なので街を案内させて下さい」
そう告げられればサイモンも我儘で引き止めるわけにもいかないと思ったのだろう。川から出るとシャツを肩に引っ掛けて他の荷物は手で纏めて持ち、サイモンの後を追って来てくれた。
「お腹は空きましたか?近くに料理を出す店があります...ここで逃すと、なかなかありつけませんから、寄りますか?」
斜め前方に建っている、小さな一軒家の横にはテーブルが何個か置かれていて、軒下辺りには長椅子も置かれていた。そこへ誘導すると、ジュエルは首を降った。
「ここじゃない...もっと質素な食事でいい。パン等を扱う場所はないのか?」
この辺りの食堂は、この場所だけで後は個人で焼いたパン位しかない。ましてやパンの材料もあまりいいものを使えないので、ポソポソとした食感だし、喉も乾くのだ。だが望みは、パンなのだからとサイモンは肩から下げていたカバンに手を押し込んだ。
「パンなら持ってます...これでいいですか?」
手のひらより少し大きいパン。靴屋で食べる時は、ミルクを貰って食べていたので、辺りを見回した。
「あつ、あの家に行けばミルクを貰えます少し待ってて下さい」
サイモンはパンを食べるためにミルクを貰いに行き、小さなカップ2つ分貰うと急いで戻った。先程いた場所にジュエルがいなくて、キョロキョロと見回せば草原の中に聳える大木の下で寝転んでいた。
「ジュエル様」
ミルクを零さないように歩みを速め、辿り着くと、ジュエルの尻の下には着ていたジャケットが敷かれていた。
「うわ、服が傷みます!1度そこを空けてください」
そうしてサイモンの持っていたタオルがジュエルの尻下に敷かれた。そのままカバンから取り出したパンを渡せば半分にちぎってサイモンへ渡す。
「一緒に食べよう」
そう言ってパンを2人で頬張り、日陰であたこちを指さしながら、案内をする。それを黙って聞いていたジュエルが、パンを食べ終わり、ミルクも綺麗に飲み干した。
(この人は本当にいい人だなぁ...)
サイモンがそう心で呟きながら、ミルクを飲み干すと二人分のカップをもって先程の家に、返しに行った。その間にジュエルばごろりと横になり、草木の香りに包まれながら目を閉じた。
戻ってみるとジュエルは気持ち良さそうに昼寝をしていて、サイモンもどうしたものかと困り果てた。けれどもあまりに気持ちよさそうなのと、その綺麗な顔を、躊躇うことなく見つめられるのはサイモンにとってもご褒美だったのだろう。
横に座り日を避けながら、座っていたら手持ち無沙汰でサイモンも目を閉じた。
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サー......
ざぁー......
そんな音が耳に届きサイモンが目を開けると、先程までの晴天とは打って変わって、雲が空を覆っていた。時刻は日が隠れているお陰で分からず、慌ててジュエルに声をかけた。
「ジュエル様、起きてください...雨です」
大木の日陰にいたのが功を奏したのだろう。雨粒は2人を避けて落ちていた。だが、雨は止む気配もなく、そしてジュエルも起きる気配がない。慌てて声をかけてみても返事はなく、仕方ないと身体に触れて揺り起こした。
「ん...サイモンか?どうした?」
やっと起きたというのに呑気な事だと、ぷっと笑ってから外を指さした。
「雨です、帰りましょう 」
「うわ、この雨に気づかなかったのかよ...」
頭を掻きながら溜息を吐いて、ジュエルが立ち上がった。
「そうだな、帰るか...」
寝転んだ時に付いた草を払い、スーツの上をサイモンの頭に乗せた。
「えっ?」
「持って行ってくれ...サイモンが風邪ひいたら俺のせいだしな」
「い、いえ、ダメですこんな高価な服」
「俺は嫌なんだよ、だから黙ってそれを羽織っとけ」
そう言うとジュエルは、雨の中を飛び出していった。その後を追うようにサイモンも頭から被るのはさすがに抵抗があったが、肩を包んで走り出した。
雨足は強くなり、肌に当たる冷たさに先程の暑さが消えていく。雨がどんどん強く2人に降り注ぐと、いきなり目の前に閃光が走った。
「雷!?」
サイモンが声を上げたと同時に、ドン!と地面が突き上げられるような地響きを感じその後に直ぐに大きな音が響いた。ゴロゴロと耳に響く重低音。そしてまた、雨足が強くなりこのまま走っては危ない。
サイモンはこのままでは危険と判断し、ジュエルの手首を取った。声もかき消されそうで余裕のない今は何を言い出すかもわからない。そんなことでも考えているのか2人とも無言で少し走ると目の前に大きな教会が見えた。
「あそこに行きます!」
炭鉱の無事をいのるように、ガスが出ないことを祈るように、願いを込めて建てられた教会。ドアを押せば簡単に開き、2人はなだれ込んだ。
ギィィ...と古びれた音を鳴らしながら、ドアが閉まる音を響かせると、サイモンはその場にペタリと座り込んだ。
「なんだ、怖かったのか?」
ジュエルの言葉に素直に頷いたサイモンは自分の身体が寒さで震えてるのに気付いた。こんな暑い日になぜ急にこんな冷たい雨を降らせるのかと、サイモンは着ていた服を脱いだ。
「随分と...」
ジュエルが口を手で隠していたからその声は聞き取れずサイモンが「何?」と聞き返すと、ジュエルは首を振りなんでもないと伝えて自分のとサイモンの服を持ってドアに向かう。
扉を開けば外の雨音がまだ激しく地面に叩きつけられる音が聞こえて、げんなりとする。そんな中でジュエルは服を絞り水分をある程度落とすとなかへと戻りキョロキョロと辺りを見回せば、箱が積み上げられていて古着と記載されたそこから2本のズボンを取りだした。
「濡れてちゃ冷えるからな...下着も脱げよ」
持ち上げたズボンの匂いをスンスンと嗅いで、そのままサイモンに向けて投げる。
「うわ!」なんて声を出しながらも上手くキャッチしたズボンを履き替えたが、今だ寒さは止まらなかった。
教会の人は不在らしく、部屋に行くドアの鍵は締められていた。ジュエルは、神に祈るように手を合わせ、お借りしますと一言告げると大きなタオルケット持って戻ってきた。
「寒そうだな...ほら」
「うわっ!?」
サイモンの頭からすっぽり被せて、髪を拭き、身体に掛かってる部分で水分を吸い取るようにジュエルが優しくなぞった。
ある程度水分が取れると、ジュエルが頭に被せたタオルケットを引き、サイモンの顔がひょっこりと現れた。
「凄い夕立だな...」
「は、はい...」
濡れそぼったジュエルの男らしさと優しさに胸が締め付けられたのか、サイモンが胸元にあるタオルごと握り締め、頬を紅潮させながら顔を見上げた。
「あ、り...がとうございます」
「ん、サイモンが病気にならなきゃいいと思ったんだが...」
そう言ってジュエルはサイモンの肩に両手を添えてクスッと笑う。サイモンの右手を掴み、頬を撫で、ジュエルはサイモンの髪を押し上げた。
「ジュエルさま?」
「君は綺麗だよ...少しだけ愛でても良いだろうか?」
「あのっ、僕なんか愛でても...」
「ふふっ君を見た時電気が走ったんだよ、サイモン...まるで君を愛でろと言ってるようじゃないか?」
「かっ、雷が近くに落ちたみたいだしっ、電気は、それじゃ...?僕なんか...その、ダメです!」
「酷いことはしないさ...ほら、目を閉じて」
そう言ってジュエルはサイモンの額に唇を乗せた。ビクッと身体を戦慄かせ、何が起こるのかと薄目を開けば甘く微笑んだジュエルの顔が目に入り、サイモンはポカンとしてしまった。
「男性愛の趣味ではなかったが、君はとても俺好みだよ...持って帰りたい程さ俺だけの天使だよ」
「なっ、何を...僕なんかダメです。綺麗な若い女性が沢山街にはいるじゃないですか!」
キスされた額に手をあてて、サイモンが慌てて否定するが、目の前の逞しい胸に引き寄せられたと思ったら腕の中に閉じ込められた。
「うん、沢山いるだろうね...でも俺の心は君に捕らわれたようだ」
サイモンは困惑を隠せずにいたが、ジュエルが抱き締めた身体が熱かった。そして、優しく抱き締められた身体を優しく摩ってくれる。
「サイモン...俺は、君が欲しい」
「ちょ、ジュエルさま!?身分が違います!それに僕は貴方をまだ知らない...」
「ふふっ俺を知ったら考えてくれるのかい?そうなら、俺はこの街まで足を運んで君に何度も会いに来るよ?」
川に浸かり雨に打たれ、緊張した状態で案内していたせいもあるだろう。サイモンは意識が薄れ、ジュエルの腕の中で眠りについてしまった。
協会のステンドグラスが、キラキラと光を放ち、外が雨上がりを知らせていた。
「神よ...巡り会わせてくれた奇跡、感謝します」
抱き締めたサイモンを愛しそうに撫でて、神に感謝を伝えるとジュエルは2人の服を手に持ちカバンを掛けて意識を失ったサイモンを背負って教会を出た。
サイモンはその後熱を出してしまい、ジュエルとの会話はほとんど覚えてなかったが、翌月に再び現れるジュエルによって知らされる事となるのは、知る由がない。
Fin
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