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第1話
人生の汚点。触れられたくない過去。
…………誰でも一つ位、あるだろう。
俺の場合、高校の卒業式の日のクラス会。
男子高ならではのノリで始まった王様ゲーム。俺は3番。顔を合わせると喧嘩ばかりだった天敵のアイツは12番。クジを引いた時から嫌な予感はしてたんだ。
「イェイ!俺が王様!!
3番と12番がディープキスーー!!」
「うわっ!キツ!!
男しかいないのにやめろ!」
「見たくねー!一体、誰?」
自分のクジを再度確認。
何回見ても③と書いてある。
「待て待て待て。そりゃ、ないだろ!嫌だ!俺、ファーストキスもまだなんだぞ!!」
慌てて猛抗議。
「虎 なの?」
「頼む!なんか違うのにしてくれ!」
全力で拒否。必死に頼んだけど、面白がって誰も助けてくれなかった。
「ギャハハハッ!虎、キスもまだかよ。流石、童貞!ウケる!」
「う、うるせー!童貞関係ねぇだろ!」
「12番、誰?」
「俺。」
麗人 が悪びれなく手を上げる。
「麗人かよ!いーじゃん!百戦錬磨と童貞、最高の組み合わせ。今後の勉強に教えてもらえ!これを期に仲良くなるチャンスじゃん。」
はぁ!?ふざけんな。他人事だと思って……
仲良くなんてしたくないっての!いつも、ちょっかい出してきたり、誰かと喋ってると邪魔してきたり……とにかく嫌な奴なんだ!
「麗人となんて絶対に無理!」
「俺、嫌だって言われると燃えるんだよね。」
ニヤリと麗人が笑う。
「うわっ!麗人。Sかよ!サイテー!」
ケラケラ、クラスメートが笑う。
「虎。諦めろ。」
悪ノリで楽しそうに笑う皆に後ずさり。
ジリジリ麗人が近付き、肩を掴まれた。
「この変態っ!俺に寄るな!
離せ!やめろって!正気か?麗人!
冗談にも程が……ぅ、んんっ!?」
男のくせに香水だか柔軟剤だか、良い匂い……
唇に柔らかい感触。腰を抱かれて、後頭部をがっちりホールド。
生まれて初めてのキスはコーヒーの味。
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