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第12話

「トラ。今日、具合悪い?」 「え?なんで。別に!」 ドキッとしてしまう。 「なんか顔赤いしフラフラしてるから……」 い、言えない…… 麗人に抱かれて下半身がダルいとか……!    ペタ…… 律がおでこに手を当ててきた。 「熱はなさそうだけど……」 「また子供扱いして。」 ギュッ。腕を引かれて思わずよろける。麗人が俺と律の間に強引に入ってきた。 「麗人?急に引っ張んなよ。危ないだろ。」 「お前、口元が緩んで更にだらしない顔になってるぞ。」 「な……」 だらしない顔って……失礼な! 体調不良は誰のせいだと思ってんだよ! 朝は手伝ってくれて助かったけど…… 意地悪は直らないらしい。 次はコーヒーの試飲。 店内を良い香りが漂う。 エスプレッソ、カプチーノ、ウィナーコーヒー、カフェモカ。 キャラメル、ヘーゼルナッツ、バニラ。 沢山のフレーバー。 コーヒーを淹れる麗人をボンヤリ見つめる。 麗人って、あぁやって黙ってると顔だけは格好良いよな。 コーヒーカップを握る手に目がいく。 長い指…… あの指が俺の…… …………って仕事中!! 「あー!虎くん。今、麗人くんに見とれてたでしょ。格好良いもんね。彼。」 「み!見とれててませんよ! 律の方が格好良いじゃないですか!」 速攻で否定。 「まー、店長も格好良いけど。」 「虎。グラスとカップ、片付けるのを手伝って。」 麗人に不機嫌な声で呼ばれる。 …………ムッとして怒ってる顔。 な、なんだ?すげー怒ってる? 皿を片付けてたら麗人が付いてきた。 「他の男、褒めるとか……喧嘩売ってんの?昨日の事、店長にバラされたくなかったら今夜もうちに来い。」 昨日とは打って変わってイライラモード。律を褒めたから……?

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