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第11話
麗人の奴!2回もヤりやがった!
「立てない……」
「風呂に連れてってやる。」
ヒョイ。抱きかかえられる。
「馬鹿!降ろせ!」
「暴れるなよ。落とすぞ。」
文句を言おうとしたら、またキスされた。
「…………可愛かったよ。」
熱がこもってるみたいな声。
ドキッ……
耳元で囁かれて顔を叩く。
「痛て……くくっ。顔はやめろよ。明日も仕事なんだし。虎、照れてんの?そんな顔してると風呂で襲うぞ。」
顔が熱い。
…………こ、コイツ、根っからのタラシだ!!
「明日起きれなかったら、どうしてくれるんだよ!」
恥ずかしさを隠す為、怒鳴る。
「泊まってけよ。起こしてやるし、責任持ってパンの仕込み、軽量とか手伝う。任せろ。製パンも得意分野だ。」
頼ってもいいのかな……
明日は大事な日だから。
…………っていうか、麗人が原因だし。
明日はスタッフを集めて、パン、ドリンクの試食会。
「このメロンパン、サクフワ!」
「アップルパイも最高!」
「ベーコンとチーズがすごく合う。」
「シナモンロールは絶妙な甘さね。」
結局、体が辛すぎて麗人の家にそのまま泊まり、パンの仕込みも手伝ってもらった……
皆の反応を見て、ホッと一息。
「なんだか、懐かしい味……」
「本当に美味しい。」
「コレも旨い!」
皆も褒めてくれて嬉しくて口元が緩む。
「そうでしょ?」
律が自分の事のように嬉しそうに話した。
「トラのパン、どれも美味しい。」
「……へへ。」
律の言葉に笑うと頭を撫でられた。
「トラはいくつになっても可愛いなぁ。」
律が目を細めて笑う。
サラッとそういう事言うとか、頭撫でるとか……
律も無自覚タラシだな。
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