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第13話

ーー イーノ side ーー ここがハーフエルフの街『翠珠街』! 街の雰囲気がなんだかおしゃれでリーフ様がいつも以上に絵になっている。 馬車を降りるリーフ様、料金を支払うリーフ様、俺に手を差し伸べるリーフ様。美しい……!! 「よし! さっそく魔道具屋に行こうぜ!」 「気のいいハーフエルフさんのお店ですね?」 「そう! ハーフエルフの中でもエルフ寄りの美人、ルーだ」 「エルフってあんまり他種族に興味を持たないと思ってたんですが……」 「いや、リーフみたいに人間を可愛がるエルフもたまにいるんだ」 なるほど、どの種族にもマニアックな人がいるのか。そのおかげでおれはリーフ様と一緒に居られるんだし、ハーフエルフの街ができることになったのか。 リーフ様がマニアックで良かった!! 「ルー! 久しぶり!!」 「……エスグリ……、リーフ様!!」 「やぁ、ルー。元気だったか? 今日は私の愛し子を連れてきたんだ。これからよろしく頼む」 「……は? 愛し子?」 「は、あの、はじめまして……、イーノと申します。ポーターです」 「人間! しかもぶっさ!?」 綺麗な人に言われると胸が痛い……。正直な反応だけど。 「ルー? 私のかわいいイーノを侮辱するならもうここには来ないよ。邪魔したね」 「ご、ごめんなさい!! そんなつもりじゃ……」 正直なだけですよ? 「おい、ルーはリーフの事が大好きなんだからもっと優しくしてやれよ」 「その理屈で言えばルーはイーノに優しくするべきだろう」 えーっと、リーフ様はルーさんに好かれているから優しくするべき? 自分を好きな人には優しくって事? つまり俺がルーさんを好き? あ、美形が好きだからか! 「確かに俺はきれいな人が好きなのでルーさんも好きです! 優しくしてもらえたら嬉しいです。……一緒にリーフ様の事を語り合いませんか?」 前半はリーフ様に、後半はルーさんに言った。 「リーフ様について語り合う……?」 リーフ様はかわいいって言ってくれるけど、可もなく不可もない俺、と思うんだけどなー。不細工だとは思いたくない。でもエルフやハーフエルフに比べたら仕方ないのかな。うーん、好みの問題だし! と悩んでいたらルーさんが折れてくれた。 「………………イーノ、さん。すみませんでした」 「そんな事!! ルーさんは悪くありません! あの、良かったら呼び捨てにして下さい」 「ありがとう、イーノ。僕が知らないリーフ様を教えてくれる?」 「喜んで!!」 話がまとまった(?)ところで素材の買取をしてもらう。リュックから素材を取り出し、鑑定してもらうと、結構な額になった。リーフ様特価かな? 「さすがリーフ様、毒袋に傷1つない! 助かります」 「当然だ。イーノが毒にやられたら大変だからな」 「……毒無効のブレスレットでも作りますか?」 「毒だけじゃなく麻痺や魅了も含めた状態異常無効にしてくれ」 「ぜ、全状態異常無効……」 ルーさんが青褪めてる。 状態異常全般を無効にする魔道具なんて難しいし高いんだろうなぁ。 「リーフ様、もったいないです! 毒消しポーションと麻痺消しポーションで充分ですよ!」 「だが魅了されたら……!!」 「魅了無効だけなら指輪がありますよ」 魅了されて操られたら困るもんね! しかも指輪! リーフ様から指輪!! サイズを測ってもらって調整をお願いし、夕食をみんなで食べる約束をして店を後にした。 「じゃ、おれは『森の恵み』に行くから。夕食は『木漏れ日亭』だな?」 「また搾り取られに行くのか」 「綺麗どころを眺めながら美味い酒が飲めるんだぞ? 相応の対価だ! むしろお得!!」 「そうか」 リーフ様の言葉から推測すれば『森の恵み』はお高いお店なのだろう。そんな所に何度も行くなんて、さすがリーフ様とパーティーを組めるだけあるなぁ。あれ? 夕食はルーさんと約束してるのに、もうお酒飲むの? 綺麗どころに少し興味はあるけど、リーフ様以上に綺麗なヒトなんている訳ないから、行かなくて良い。 「興味があるのか?」 「い、いえ! そんな事は!!」 必要以上に大きな声になってしまって本当は興味があると言う事がバレバレになってしまった。……ご、ごめんなさい……。 「ならば行こう」 「で、でもお高いんじゃないんですか!?」 「それはエスグリ限定だ。それにあの店は、エルフなら全て無料なんだ」 「そうなんですか!? でも俺は……」 「ふふふ……、イーノが楽しめるならいくら支払っても良いんだよ?」 「そんなのもったいないです!!」 俺のために無駄遣いさせたくない! でも覗くくらいなら!! 誘惑に負けて来てしまいました。 カフェだけどお酒も飲む事ができる。まぁ、俺は弱いからハーブティーを注文した。クッキーが2枚添えられていた。 ……いくらなんだろう? 「銀貨3枚です」 「ぶはぁっ!!」 素泊まりの宿に1泊できるよ? お茶とクッキー2枚で!? 「気にしなくて良い。イーノの分は私が払うからね」 「ででででも!!」 「え? えっと……、リーフ様のお連れ様ですか?」 「あぁ、私の愛し子だ。死が2人を分かつまで共にいるつもりだ」 それって婚姻の誓い!! 「マジか……」 静まり返った店内でエスグリさんの呟きがはっきりと聞こえた。

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