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第31話

ーー リーフ side ーー 「これ、おしり……、入れたら、きもちい? りーふしゃま、のぉ……、んちゅっ」 「イーノ! こら! こ、ら……ぁ……ふっ」 私がこぼした精を夢見心地で味わうのは、ダメだ。また流されてしまう。尻に入れたら気持ちいいかどうかなど、私の理性を試さないでくれ。今はまだ、準備ができていない。 「……ふぁ? あっ! すっ、すみませっ!!」 「い、いや。まだタネツケカズラの影響が残っているのかも知れないな。っあ……」 「せ、せっかくですから、その……」 「ん……、はあっ、ぁ……っ!!」 清拭として舐めとっていたはずなのに、舌使いがとても官能的だ。これはもう、口淫……。すでに何度かしているが、驚くべき速さで上達している。 交合のやり直しは私がリードする予定なので、今、流される訳にはいかない! が、これはいつもの触れ合いと解釈すれば良いだろう。くぅっ!! ……上手になった。 「えへへ……、気持ちよかった、ですか?」 「あぁ。とても気持ちが良かったよ」 またしても私のものを咥えて達したらしいので、まとめて浄化した。2人旅も良いが、家の風呂での裸の触れ合いも捨てがたい。その前に多少遠回りになるが、帰りは温泉の沸く方へ降りよう。 昼の間に様々な植物や鉱物を採集しつつ、銀芙蓉の蜜の採取準備をする。予定通り咲きそうだ。 私の背丈と同じくらいまでしか伸びず、細い幹が1つの株で10〜15本、束になって生える。葉は少年の手と同じくらいの大きさで、5つの切れ込みがある。花はまだ蕾だが、美しく咲くであろう様子が窺える。 「ふわぁ……。まだ蕾なのに清楚で上品な美しさですね」 「この花の蜜は月の光を浴びて小さな結晶になり、こぼれ落ちる。それを受け止めるのだ」 月に向かって花開くのを妨げることのないよう、物理的な干渉はできない。風の魔法で集めるのだ。 ーー イーノ side ーー 「わっ! これ、宝石!?」 「ん? あぁ、水晶だ。宝石としては安価だがここの物は質が良いからそれなりの値で売れるだろう」 「拾って良いんですか!?」 「もちろんだ。夜まで時間がある。好きなだけ拾いなさい」 朝食を終えて採集をしながら銀芙蓉の様子を見に来た。とても綺麗な花だろうことは蕾を見ただけでも伺えた。薬草や香草、キノコに鉱物、昆虫。世界から切り離されたこの場所では、珍しいものがたくさんある。 ヒメカクシも町で買えるものよりずっと、香りが良かった。新鮮だからかと思ったけど、この場所のせいかもしれない。 足元にキラキラ光る石を見つけ、リーフ様に訊いたら水晶だった。よく見ればそこかしこに落ちてる!! 取り放題! 今度、リーフ様になにかプレゼントするときの資金にしよう。 「ほら、これは翡翠だよ」 「え!? 普通の丸い石に見えますが……」 「緑色で、持つと見た目より重いんだ。ほら」 「本当だ!」 「質は磨いてみないと分からないから、それらしいのを適当に拾うと良い」 こっちは少し難しい宝探しのようで楽しくなる。小分け袋にぎゅうぎゅう詰めにしてから亜空間収納バックに入れた。 昼食を食べに戻り、一休みして今度は反対側に行く。地面に浅く掘られた鳥の巣にはたまごがあった。食べられるのかな? パリッ パリパリパリッ 「ギグゲゲゲッ」 ……食べられなかったし、鳴き声怖い……。 「あれは鳥ではなく、飛び蛟(とびみずち)だ。成体になるまでは猛毒で身を守る。狩るには少々小さいな」 成体になる直前に狩ると良いらしい。 怖いです……。 ちゃんとした鳥もいた。 小藍鸞(しょうあいらん)といって大きくて青くて尾が長い、神々しい鳥。これは抜け落ちた羽根を拾う。明るい青から濃紺に染まる羽根はキラキラして、まるで夜空だ。 かなり頭が良いらしく、挨拶をしたら頷いてくれて、わざわざ尾羽を1本、抜いて分けてくれた。これは売れない!! 「良かったな、イーノ。その羽根は状態異常軽減の効果がある。自然に抜け落ちたものと違い、自ら抜いたものは状態異常無効となる」 「状態異常無効!? それ、ものすごくレアなんじゃ……。い、痛くなかった? ありがとう! 大切にします」 そう言ったら満足げに頷いてくれた。 それからまたいろいろ採集して、石榴石も拾った。紅玉かと思ったけど、色が少し暗いから石榴石だろう、って。でも宝石の仲間だから拾う。 なんだか遊びに来たみたい……。 充分採集したところで、夜に向けて仮眠をとる。もう一度夕焼けを見たいとお願いしたら、テントの中に夕陽が差し込むようにしてくれた。 ーー リーフ side ーー 『もう一度夕焼けが見たい』 イーノに言われなくても同じ気持ちだった。日差しの色や角度が変わっただけだというのに、なぜあれほど胸を締め付けるのか。あの瞬間をこそ絵姿に残すべきだったと後で気づいたのだ。 数日眠らずに過ごすことも可能だが、イーノが心配するから仮眠をとる。ここに来てすぐ居眠りをしたのは我ながら驚いたが。 イーノを抱きしめて横になり、テントの入り口を少し開け、隙間から夕陽が差し込むのを待った。 陽が傾き、差し込む陽光の眩しさに目を覚ます。 イーノに優しく声をかければ、寝ぼけながら目覚めのキスをしてくれる。律儀だ。唇を貪りたいところだが陽が沈んでしまっては悲しむだろう。 やりすぎないよう注意しながら深い口づけをおとした。 「はぁっ!! お、おはようございます……?」 「ふふふ、おはよう? さぁ、共に夕焼けを見よう」

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