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第30話

ーー イーノ side ーー 簡単に美味しい食事が用意できて、リーフさまの笑顔も見られる。コクトゥーラ様、ありがとうございます! 後片付けをして結界の確認をしてもらって、テントに入って寝る。浄化してもらって、すっきりさっぱり! リーフ様の抱き枕として、ぐっすり眠ります。 ……。 ………………。 ………………………………。 眠れない。 たった数日の禁欲生活なのに、ムラムラする! どうしよう? トイレのフリして抜いてくるか。 「……イーノ?」 「リーフ様! 起こしてしまいましたか?」 「いや、先程の仮眠のせいで眠れなくてね。少し、月を見ようか」 「は、はい!」 満月の1日前だから、とても明るい。月明かりで影ができている。そのせいで星は少ないけど、幻想的なことに変わりはない。持ってきたマットを敷いて、並んで寝転んだ。 「月が綺麗ですね……」 「綺麗だな。それに、月の光には不思議な気配を感じる」 「あぁ……、月の光に浮かぶリーフ様……、きれい……」 「イーノに褒められるのは、嬉しいね」 「えっ!? こっ、声に出てました!?」 月を見ようと誘われたのに、リーフ様を盗み見してたの、バレた! うわぁ……、恥ずかしい……。 「イーノ? 私だって月の光に照らされたイーノが見たい。隠さないでくれ」 「でも! そんな!! 恥ずかしくて!!!」 「痛……」 「すっ! すみません!!」 顔を隠す手を外そうとされて、ジタバタ抵抗してたらリーフ様に肘が当たってしまった。うわわわわっ!! ーー リーフ side ーー 月の光に浮かび上がるイーノは、常より艶かしい。そっと見つめていると、チラチラこちらを見ている。 「月の光に浮かぶリーフ様、きれい……」 はっきりこちらを向いて見惚れても構わないのに、イーノは本当に奥ゆかしい。 「イーノに褒められるのは、嬉しいね」 「えっ!? こっ、声に出てました!?」 うっかり返事をしてしまったら、照れて顔を隠してしまった。 イーノが私に見惚れるのはいつものことなのだから、黙って聞いていればよかった。失敗した。 「私だってイーノの顔が見たいよ」 「でも! そんな!! 恥ずかしくて!!!」 「痛……」 「すみません!!」 無理やり顔を見ようとしたら抵抗されて、肘が顎に当たった。痛くも痒くもないが、いたずら心で痛いと言ってしまった。心配しておろおろするイーノを鑑賞するのは、人が悪いだろうが、楽しい。 「すまない。反射的に言ってしまっただけで、痛くはないよ。元はと言えば私が悪いのだし」 「リーフ様は悪くありません! いつ、どんな時でも! 絶対!!」 「ふふっ。まったくイーノは……。では謝罪を要求しようかな?」 「はい! 何でもします!!」 「では、ここに口づけを」 「ほぇっ!?」 ぶつかった所に口づけを要求してみた。 嫌がりはしないだろうが、また気を失ってしまうだろうか? ……熱を出してしまっては困るからやめようか。 「無理はしなくて……」 ぷちゅ ゴロゴロゴロッ!! 「イーノ!?」 「ぅわぁぁぁぁっ! ホントにっ! 本当にこんなので謝罪になるんですか!? ご褒美じゃないんですか???」 「あぁ。私には褒美だが、イーノは恥ずかしいだろう? 恥ずかしさを押し殺すのが謝罪としてふさわしいかと考えたのだが」 「そう言われれば確かにそうかも知れませんが普通に考えたら麗しのエルフ様に口づけを贈るなんて神々に選ばれし幸運を賜ったものとしか考えられななななな……っ!?」 「少し荷が重かったかな? ほら、落ち着いて」 「ほわぁぁぁぁ……」 怒涛の如く喋りながら転がり回るイーノを宥めようと、抱き寄せて頭を撫でたら、ぱたり、と眠ってしまった。……気を失った訳ではないと思うのだが。 イーノを抱いて運び、テントの中に寝かせる。反応がいちいち面白くて、ついかまってしまう。だが、この雰囲気で、婚姻の申し込みを覚えているだろうか? ─────────────────── 「んぁ……、おはよう……、ございます……」 ぷちゅ 「はっ!!」 「あぁっ! イーノ! おはよう!」 「そっ、その! これはっ!! んんんっ!」 寝ぼけたイーノが頬に口づけをしてくれた。なんて良い朝だろう。お返しの口づけが少々、濃厚になってしまったが問題ないだろう。 「リーフ、しゃま……らめぇ……」 ぐっ! 口づけくらいで何故ここまで蕩けてしまうのか。に、にやける……! ん? 「あぁ、数日我慢させてしまったね。ちゃんと可愛がってあげるからね」 「ふゃっ、らめっ! そこ、触っちゃ、あぁぁぁぁ……っ!!」 硬く立ち上がり、存在を主張する中心。慰めようと下着に手を入れて、数回撫でただけで吐精した。なんとも愛らしい。 「リーフしゃまの、てぇ……汚しちゃっ、た……」 「浄化するよ。だが、汚いものではないのだから、そう気にしないでくれ」 「気にするぅぅぅぅ……」 未だ寝ぼけているのか、言動が幼い。 ならば。 「では仕返しだ。手を貸して?」 「はい」 素直に手を差し出すので、笑いながら下着を下ろし、私の屹立を握らせた。 「同じようにして?」 「えと……、こう?」 「んっ、そうだ。上手だね」 「じょうず……」 相変わらず、快楽を呼び込むような手指だ。程よい強さも覚えたようで、以前よりさらに心地良い。 「これ、おしり……、入れたら、きもちい?」 「くぅぅっ!!」 予想外の攻撃を受け、あえなくきちんとしたやり直しを諦め、流されそうになるとは。私はこれほどまでに情けない男だったのか……!

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