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第4話

「あれ好き?」  浅黒い彼の細長い指が空に孤を描いているカラフルな光の粒を指差して言う。 「好きだね」 「なんで」 「見るだけで幸せな気持ちになるからね。得した気分になるし」  せかせかしていた心が凪ぐ。どれだけ彷徨っていてもつい立ち止まってしまう。一呼吸をくれるから。  少年ははにかんで幸を見た。  名前を尋ねられたので、幸、と名乗った。彼がコウ、と復唱する。新しいおもちゃを買ってもらったような瞳だった。 「キミは?」  太陽の光が眩しすぎるくらいに照ってきた。  もうすぐ終わる。名残惜しい気持ちで空を見上げる。  ぼく? ともったいぶって彼が言う。  あはは、と雨が地面を跳ねるような声で笑った。 「ぼくは虹の王子さま」  なかなか面白いな。少年。と彼がいるほうを見たけれど。  そこには誰もいなかった。  空の虹も消えている。  うーん。  なかなか面白いな。虹の、王子さま。  また雨が降ったら、会えるかな。

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