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第1話

 【後悔を先に知る事が出来たならば】  気付かない内に傷付けて居た事なんて沢山あっただろう。  俺を置いて姿を消した太宰が「置いて行って御免」と云った。あの時俺が全く傷付かなかったかといえば断言は出来無い。何故俺に一言も無かったのかなんて唯其れだけが消えない傷として燻り続けた。  不思議なモンだ。あれだけ心底嫌って居た筈だったのに。  その太宰を今度は俺が置いて行った。

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