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第2話

 置いて行かれる事が、何より辛いと俺は誰よりも解って居た筈なのに。  未練が無かった訳では無い。亦何時か太宰が俺を置いて居なく為って仕舞うのでは無いかと考えた時、共に居る事より離れる事を選び、そして実行した。  確かに愛した、其の想いを小さな箱の中に無理矢理押し込み、二度と思い返さぬようにと深い深い処へと隠した。  太宰の幸せを願うからこそ、太宰には俺よりもっと相応しい相手が居るのではないかと思って仕舞った。太宰に今でも忘れられない相手が居る事はずっと前から知っていた。屹度太宰が心から求めて居るのは、太宰よりも上背が有り少し天然で、太宰が一緒に居て心から安らげる相手。其れは多分俺じゃ無い。

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