太宰を求める己の【慾】を優先して仕舞った俺は、悲し気な笑みを浮かべつつ「御帰り」と受け入れた太宰の心の内を慮る事が出来なかった。 　【若し、此の結末を予め知る事が出来たのならば、間違っても太宰の手を離す事は無かっただろう】 　太宰の心の傷は、俺が考えて居たよりもずっと深いもので、大抵の事では怒らない太宰が 　――笑顔の儘、俺が触れる事を拒絶した