5 / 8

第5話

 置いて行かれた時、俺だって辛かったのにという言葉は呑み込んだ。奴からの信頼を、手酷い形で裏切ったのは他でもない俺だからだ。  壊れてしまった心が、見た目だけでも此処まで回復する為に、此奴は何度自分自身を殺し続けたのだろうか。  【ただ、後悔をした】  白い包帯が巻かれた太宰の細い腕は、其の上からも判る程に歪んでいた。  もう逃げないと  目を反らさないと  包帯を取れば  皮膚はもう役目を果たしてはいなかった。

ともだちにシェアしよう!