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第6話
たった数週間で太宰はそうなった。俺は無理にでも忘れようと想いを押し込んだが、此奴は其れすらも出来ずに。
碎け散った硝子の欠片を幾ら掻き集めた処で、喪った心は二度と元には戻らない。
抵抗する気力は在っても、体力が微塵も残って居ない太宰の左腕を綺麗にし包帯を取り替えて居る間、譫言の様に太宰が呟いた。
――怒っていない
――もう覚えていないんだ
――君とどんな言葉を交わしたか
――だから君の手で終わらせて欲しい
ぞくりとする程冷たい太宰の指先が力無く握り返して来る。
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