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⑧16歳。はじまりは突然で・。
激昂する花音にさしたる問題はないと突っぱねる母さんはやはり肝が座っているというか何というか……。
それともただ単純に花音の怒りを察していないだけなのか……。
もしそうなら、この場の空気を読んでくれ母さん!!
「なんでそうなんの?」
「なんでって……仕方ないでしょう? 貴方たちの大切なお祖父様の遺言なんだもの」
「そんなの知らないわよ!! お祖父さんのことは知ってるけど……でも、相手のことも良く知らないのに勝手に許嫁とか決められたくない!!」
「あら? 月夜くんのことは母さんよく知っているわよ? 華道家のご嫡男でね、あなたたちと同じ年齢よ。たしか、あのとてつもない競争率を誇る、峰空 高校に在学してるのよ。とてもカッコイイし、礼儀正しいし、言うことないと思うのよ……」
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