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⑫16歳。はじまりは突然で…。
花音はふたたび声を荒げ、怒りをあらわにした。
柔らかそうな頬をぷっくりと膨らませ、拒否する花音は一歩も譲らない。
だけどこれじゃあ話は一方通行になるばかりだ。
――さて、どうしたものか。
考えあぐねいていると、花音は三度声を上げた。
「ねぇ、あたし。いいこと思いついちゃった」
俺を見る花音の目の奥がキラリと光ったような気がしたのは気のせいだろうか。
なんだかわからんが、兄ちゃんは悪寒がするぞ……?
危機感を察知した体がぶるりと震えた。
「亜瑠兎でいいじゃん! 幸い、あたしたち双子だし、容姿も……。
悔しいけど、あたしと同じくらい美人だし!! それにそれに、亜瑠兎なら男の子だから間違いがあっても問題ないじゃん?」
嫌な予感は見事、的中した。
…………をい。をいをいをいをいをい!!
花音の縁談なのになぜそうなるッ!?
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