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⑬16歳。はじまりは突然に…。

 間違いってそんなのないだろうがよ!  というか考えたくもないわっ!! 「ちょっと待てよ。なんだよそれ!!」  バンッ!!  今度は俺がテーブルを叩く番だった。 「それもそうねぇ~、亜瑠兎なら、間違いがあっても対処できるのもね~」  ……をい、母さん? 「うんうん、そうだね。亜瑠兎にしようか」  ……をいをい、父さんまでかよ?  間違い間違いって。  頼むから3人とも連呼しないで。  まるで間違いが起きて欲しいみたいな言い方しないでくれないか? 「何よ、亜瑠兎。それともあんたも好きな人がいるの?」  花音に聞かれて俺は素直に首を振ってしまった。 「いや……いないけど…………」 「だったらいいじゃん!! 亜瑠兎で決まり!!」  花音がたたみかけるようにしてそう言った。 「なっ!?」  しまったあああっ!  嘘でも好きな子がいるって言っておけばよかった!!  俺は自分の正直さ加減に頭を抱えた。 「そうだな」 「そうね」  父さんと母さんもうんうんと(うなず)いている。

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