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⑭水も滴るーーいい男?
いったいどうしたっていうんだよ俺!
半ば混乱気味の頭。
その片隅で、嘉門さんの声がする。
ああ、話を聞かなきゃ。
なにせ俺の一大事だ。
今日、縁談をぶち壊せられれば問題はないが、万が一ということもある。
ボーッとしているわけにはいかない。
俺は慌てて嘉門さんに向き直った。
「わたし共の家からさほど離れていない場所に別荘があってね。そこを使ってもらおうと思っている。
まあ、間違いはないようにと月夜にはきちんと言い含めているが、何かあった時はわたしたちがすぐに駆けつける。
近場の方が何かと安全だろう。何しろ大切なお嬢さんを預かることになるんだから。
そこで、問題なんだが……。
その別荘があるのが、残念ながら、花音さんの学校から別荘までは電車で50分はかかる。道のりが大分遠くなるんだ。
提案なんだが、花音さんも月夜と同じ学校に編入されてはいかがだろうか?」
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