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㉑水も滴るーーいい男?
「…………………」
「…………………」
1、2、3……。
あまりの恥ずかしさに俺はただ黙って畳の目を数え始める。
静かだ。
静かすぎる。
この沈黙が俺をとても惨めにさせる。
いっそのこと盛大にコケた俺を馬鹿だと笑い、罵 ってくれれば楽なのに……。
恥ずかしさと惨めな気持ちでいっぱいになっている俺は、ひたすら黙るしかない。
すると……。
「ぷっ」
吹き出す声によって、長い沈黙は破かれた。
見上げれば唇を必死に噛みしめている月夜がいた。
「……っく。ははっ…………ごめ…………も、だめ…………あはははっ!!」
そうして彼はとうとう堪えられなくなったようだ。
大口を開けて笑った。
――いや、あのさ。
罵ってもらった方が楽だとは思ったよ。
否定はしない。
だけどさ、そんなに笑ってほしいなんて思ってないし。
「……ごめっ……っくく……」
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