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㉓水も滴るーーいい男?
優しく教えてくれるけれど、俺はやっぱり素直にはなれなくて、月夜を睨んだまま、だけど彼の言葉に従った。
……若干、足の痛みはなくなった。
もういい頃合だろうと膝を立てて歩いてみる。
まだ足の痺れはあるものの、さっきみたいにコケることもない。
ほっとひと息つき、月夜の方を振り向けば――彼は俺のすぐ後ろに立っていた。
笑顔には違いないが、さっきの笑顔とは違う。
目を細め、こちらをじっと見つめている。
月夜の視線と俺の視線がぶつかる。
なぜだろう。
視線が重なっただけだっていうのに、体が熱くなった。
――なぜ? 知らない。
わからない。
だけどそれは恥ずかしいという感情に似ているのかもしれない。
俺のことをすべて見透かそうとしているような……暴こうとしているような真っ直ぐな瞳だから……。
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