彼はどうしてそんなに寛大なのか……。 　いや、おかしいだろう。 　人間ができすぎてはいやしないか？ 　だってまだ高校生だぞ？ 　大人ならまだしも、俺たちは言うなればまだ子供だ。 　そんなに寛容でどうするんだって思う。 　はっ！！ 　月夜はもしかして寛大なんじゃなくて……マゾか？ 　まさかそっちの人間なのか？ 　……まあ、他人の俺が彼の趣向をどうこう言えるわけがないし。 　とりあえず月夜がマゾヒストかどうかはさて置き。 　とにかく月夜は怒らないんだ。 　おかげで婚約破棄ができない……。 　それで今、俺が居る場所というのは月夜ん家の別荘。 　――というか……ここ、高層ビルなみのマンションですけど？ 　１５階建て。 　非常時用としてしか機能を果たさない階段。 　移動基準は三個もあるエレベーター。 　そして一階のエントランスにある管理室にはモニター完備。