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⑦嫁? 夫? 同居生活のはじまり
不快だと思っていいはずのその手を、なぜか振り払えない自分がいる。
ほんと、俺はどうしてしまったんだろう。
月夜に促されるまま中へと入れば――。
厳重なセキュリティーシステムに守られた部屋は3LDK。
10帖はあるだろうフローリングの部屋。
5階とはいえ、外を眺める景色はとても綺麗だった。
目の前には大きな窓がある。
そこから見える朱に染まった夕焼けはとても綺麗だ。
「疲れたね」
俺が家から持ってきた服やら何やらが入った、とても重いキャリーケースを俺の変わりに運んだ月夜は長い息を吐いた。
自分の荷物なんだから自分で持つと言ったのに、女の子に重い荷物を持たせることはできないと、月夜は俺の意見を突っぱねた。
ううっ。
背中がむず痒い。
女扱いなんてしてほしくない。
だけど今の俺は花音だし。
――月夜は悪くない。
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